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「地獄を見た私」

福岡生活も5年近く経つ私。

またいつ離れてしまうか分からない九州ですから、
悔いが残らないよう、私たちはこれまで
せっせと九州を旅してきました。

そして今年。
改めて振り返ってみると、なんと!
別府へ行ったことがないではないですか。

というわけで、年末の別府へ出掛けてきました。

別府・・・とひと口に言っても、
日本最大の温泉地ですから、泉質だけでも10以上。
細かくいろんな温泉地にわかれていますが、
「ザ・別府」ともいうべき、鉄輪(かんなわ)温泉を選んでみました。

ここは地獄巡りで有名なところ。
昔の人が見たら本気で「・・・じ・地獄じゃ〜!」といいそうな、
おどろおどろしい色の温泉や、怖いほどの勢いで湧いている
8種類の「地獄」を見ることができるのです。

各地獄には親切な案内という意味で「地獄入り口」という扉が。

・・・「地獄入り口」!

改めて読むとひどいなあ・・と思うのですが、
みな観光客ですから、喜んでその扉に吸い込まれてゆく(笑顔で)。
なんだか不思議だなあ〜と思いながら入ると、こんな地獄が・・・

この湧き上がる地獄、100度だったりするらしく、
まさにグラグラボッコボコと湧いているのです。
わずかな柵の一歩先は、まさに「地獄」。

ところがこの「地獄」は、生活にステキに活用されていて、
かつてはどの家庭にも「ウチの地獄」があり、
せいろでいろんなものを調理していたのだとか。
現在my地獄を持つ家は減っているものの、
今も現役の地獄で料理をつくり、地獄の熱で家を温め、
自宅のお風呂で温泉につかるお宅があるのは
本当にすばらしく豊かな土地だなあと思います。

地獄では、足湯・地獄熱を利用した足の岩盤、
蒸気を吸う、のど・鼻用の温泉まで。
人間のためだけではありません。
その温泉熱で育てられているということで、
動物園や植物園まで併設!地獄、大充実!

その中でも一番すごいと思ったのは、血の池地獄でした。

その血が湧くような真っ赤な見た目はさることながら、
その血のような泥を原料につくられた軟膏というのがすごい。
お土産として人気らしいのですが、
以前何かの記事で見て、欲しいなあと思っていたのです。

それは、血の池地獄のほとり(というのかな)で
ひっそりと、でも大々的に売られていました。

そこには、もう何年も同じトークを繰り返していると思われる
滑らかな話し振りのおばさまがいて、
拡声器片手に血の池地獄の説明をしてくれるのですが、
そのトークの途中でにわかに語気が強まるのでした。

「・・・さてこの血の池地獄、一度大爆発が起きたことがございます!
その時の写真がコチラにありますのでみなさん、お集り下さい」

ゾロゾロ・・と写真を見に、小さな屋根の下へ入る人々。

すると、確かにその写真は貼ってあるのですが、
あれ??・・・気づくとそこは売店。
軟膏がズラリと並べられた前に全員立たされる格好になるわけです。

当時の白黒写真の説明が終わりかかると共に、
トークの方向が「血の池地獄の赤い泥」および「成分」の話へ移り、
自然な流れで「軟膏が誕生した話」および「その効能」の話へ移り、
またまた自然な流れで、

「皆様、おひとついかがですか」

という運びとなるのです。すごい。
血の池地獄の赤さ加減にも参ったけど、
このトークの方が心揺さぶられたかも・・・

この軟膏を以前から欲しかった私でしたが、
まるでトークに丸め込まれた(?)格好になった雰囲気で
ひとつ購入することになったのでした。

「地獄を見た私」_a0103434_22354664.jpg
がおおおおおお!!

これが、
血の池地獄軟膏じゃぞ!!


「地獄を見た私」_a0103434_22365380.jpg
袋の中を開けると。
フタの色は青。


「地獄を見た私」_a0103434_22373448.jpg
フタを開けると、
ほんとにリアルな血のような赤色。


これ、いろいろ効能があるらしく、
しかも薬の有効期限は無いんだそうです。
永年有効。
あああなんだか地獄っぽい。

別府温泉。
お湯も素晴らしかったし、ご飯もおいしかったし、
途中で立ち寄った竹の博物館も感動的だったけど、
地獄に大満足すぎて、他がかすむ勢いでした。
なぜ今まで行かなかったんでしょう、別府。
あーーー私も九州に慣れてきたなんて思っていたけど、
なんという思い上り・・・!
ということがわかった2008年の終わりでした。
by cherry_icecream | 2008-12-29 22:39 | 写真


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